戯言

気ままに...

人にやさしく...2

「私!ついていきます!」って...?
あまりにも真っ直ぐに目を見つめて言うから、思わず”どこへ?”と口に出そうになったが”出口”だったww
そして、足早に店の奥に歩を進め、店長さんらしき方に「ついていってきます!」が、かすかに聴こえてきて、なんだか笑えてきた。
私の前まで来ると「さぁ、行きましょう!ついてきてください!」と...
まるで冒険でもいくんか?みたいでしたが「お願いします!」と言うと、くるりと踵を返し指差して「あっちだから...」と...
フロアの隅の階段まで行き1階へ上がり、少し暗くシーンと静まりかえったファッションフロアーのマネキンが不気味だなぁ~と思っていると、彼女は少し歩をゆるめて、
「ちょこっとバイトさぼれちゃった」と笑った。
「ねぇ~、どこまで帰るの?」と聞いてきたので、
「地下鉄とJRと名鉄を乗り継いだ田舎だよ」と答えると「ここ都会のど真ん中だよね」と微笑んだ。名古屋・栄 確かにど真ん中だ!
何で初対面の女性とこんな話してんだろう!?と不思議な感覚がした。
でもなぜか 彼女の瞳を見ていたらひとつだけ質問してみたくなったので思い切って聞いてみた。
『夢ってあるの?』と...
瞳を輝かせながら小さな声で「パティシエになりたいんだよね」と...
とても素敵な職人さんになれそうな気がしたが口には出さなかった。
フロアの片隅にたどり着き、店内からは扉とは思えないような重たい鉄の扉を開けて狭い通路を通り抜けると、そこは従業員の通用口だった。
えっ!っていうような顔をしていたら、
「大丈夫だよ、入れないけど出れるから...地下鉄の入り口は右に曲がってすぐだよ」
「ありがとう!助かった!パティシエさん!」と言ったら、
彼女はうれしそうな笑顔で『じゃぁ~、バイバイ!』と手を振った。
終電には間に合い、帰りの車内で数日前の北川景子似の彼女を思いだした。
iPhoneからはEGO-WRAPPIN'の歌声がイヤフォンから流れていて心地よかった...

”人にやさしくすると人にやさしくされる?”のだろうか...
まだまだ世の中捨てたもんぢゃないのかもしれない...